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目次
 個別療育の進め方

 
コラム 日々の生活や集団の中で学習するために必要な力


  『教室以外でもこどもが学習できる力をつける』ことを療育の目標としていますが,ここでは,日常生活や園や学校での生活,集団活動の中でこども達が学習し,成長していくために必要な基礎となる力を考えていきます(『注意記憶と観察学習』も参考にしてください)。

  学習態勢:ある程度の時間,椅子に座って机上の課題に取り組む力は必要です。小学校では45分間座席に座って授業を受けなければならず,短時間で離席してしまうようでは,授業に参加することはできません。苦手なことでも投げ出さずに頑張る力や椅子に座って姿勢を維持する力が必要になります。

  言語スキル:言葉を中心とした他者とコミュニケーションをとるスキルは自分の気持ちを伝えたり,集団に参加するための大切なスキルになります。また,言語スキルはコミュニケーションだけではなく,状況や因果関係の理解,人の思考などと大きく関係しているため,中心的なスキル(基軸となる領域)となります。

  衝動性を抑える力:気になるものや音に対して衝動的に反応したり,苦手な課題を衝動的に放り投げたりしていては課題や活動に取り組むことが難しく,集団生活を送る上でも障害になります。療育中の衝動的な行動は消去し,課題に集中して取り組む行動を強化することで,衝動的な反応を無くしていきます。ご家庭では,わざとテレビの音が聞こえるようにしておいたり,気になるものが見えるような状態でお勉強をするなども,衝動的な反応を抑える練習になります。

  必要なものに注意を向ける力:先生の声かけや動き,板書や課題に注意を向ける力,また,友達からの働きかけや友達の動きに注意を向ける力が必要です。先生の声かけなどに注意が向かないと,今何をしないといけないか分からなかったり,やり方が分からず,無駄な時間を過ごすことになります。友達からの働きかけに注意が向かなければやり取りが成立し難いです。友達の動きや他児との関わり,また,友達が何か行った時にどういう結果になったのか(先生に褒められたり怒られたりするなど)ということに対して注意が向かなければ,観察学習が成立せず,集団の中にいても学習の機会が少なくなってしまいます。注意が向かない対象は頭に入りません。学習の機会を得るためには,必要なものに注意を向ける力は大切になります。まずは動作模倣や音の模倣(単語や文章)により,視覚的にも聴覚的にも必要な刺激に注意を向ける練習を行います。興味のあるものには注意が向きやすいので,遊びを通して色々な対象(色,形,大きさ,数,概念,聞き取り,など)に注意を向けさせる練習も有効です。

  注意を維持する力:学習態勢と関係しますが,ある程度の時間,他者とのやり取りや課題に対して注意を維持する力は大切になります。途中で注意が逸れてしまうと課題が中断してしまったり,何をしているのか分からなくなってしまいます。単純な作業に時間をかけて取り組むところから始め,徐々に1つ1つの課題の時間を長くしていきます。  

  記憶力:一定時間記憶する力は注意力とも関係します。何かを覚えておかないといけない時に別の物に注意が逸れてしまうと忘れてしまうからです。一定時間物事を記憶しておく力は,作業や課題を遂行するとき,指示を聞いて動くとき,遊ぶとき,お買い物をするときなどあらゆる場面で必要になってくる力です。記憶できる容量や長さを伸ばしていかなければなりません。課題としては,少し離れたところにある絵カードから指定した絵カードを取ってくる課題をよく行います。絵カードとの距離を離したり,取ってくる絵カードの数を増やすことで難易度を高めていきます。短文を聞いて模倣したり,複数の単語を連続して聞いて模倣したり,見本を聞いてから模倣するまでの時間の間隔を長くしたり,絵カードを並べて見せて裏返して答えさせるなどの課題を行います。神経衰弱も楽しみながら記憶力を高めることができます。

  抑制する力:抑制する力が弱いと衝動的な言動が多くなり,集団参加が難しくなることがあります。動きや発言を止める練習や遊び,持続して課題や遊びを取り組む練習などを通して抑制する力を養います。

  切り替える力:課題と課題への切り替え,休憩から課題への切り替えなどに抵抗を示し,ぐずってしまうことは,集団生活をおくる上での障害になります。注意の切り替えと関係しますが,セッションの中で切り替えの頻度を増やしたり,遊びを中断して課題に取り組む機会を増やし,切り替える行動を強化し,慣れさせていきます。

  これらの力は,日々の生活や集団生活の中での社会的学習や園や学校で課題や活動に取り組むために必要な力であり,行動療育で主に対象とするスキルです。これらの基軸となる力が付けば,療育場面で全てのことを1つずつ指導しなくても,日常生活や集団生活で多くのこと(物の名称や概念,他者とやり取りする方法,社会スキルなど)を学んでいくことができます。これらの基軸となる力が付き,平仮名の読み書きや数の概念が習得できれば,個別療育を一区切りとし,小集団の療育や必要な支援が受けれられる園での生活を中心にしていくと良いと思います。


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