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 軽度知的障害やその他の発達障害のあるこどもの支援

 日々の生活で社会性を伸ばす:SST


  
日々の生活を送っていると,対人関係を中心とした様々な社会的スキル(social skill)に関するトラブルが生じることがあります。例えば,友達とケンカした,いたずらをした(された),年下の子を叩いた,遊びの輪に入ることができなかった,など。これらは知的障害や自閉症状が軽度であっても,ADHDなどの発達障害であっても見られやすい問題です。

  これらの社会的スキルも他のスキル同様に訓練によって向上していくことが知られており,社会性訓練,社会的スキル訓練,ソーシャルスキルトレーニング(SST: social skills training)と言われています。例えば,あいさつの仕方,嫌な時の断り方,友達への声のかけ方,遊びへの入り方,などが良く標的スキルとされています。

  特定のスキルを標的として専門家が訓練するというのは1つの方法ですが,日常生活で対人関係の問題が生じた際に,その都度,その場面で必要であった適切な行動,社会的スキルを家庭の中で教えていくという方法も非常に有効だと考えます。

  SSTの基本的な手続きは,
1. 状況と標的行動の理解,2. モデリング,3. ロールプレイ,4. フィードバック,になりますので,基本的な指導方法が理解できれば,ご家庭で保護者の方と楽しみながら学んでいくことができます。少し例を挙げて説明していきます。

  例えば,友達が遊んでいる中に入ろうとして友達に断られ叩いてしまった,という問題が幼稚園で起きたとします。その時にこどもの社会的スキル不足から生じた問題であれば,「叩いたらダメでしょ」と怒るだけでは解決になりません。「人を叩いたらいけない」ということは絶対に守らないといけないルールとして教え,同時にその時に必要だったスキルを教えてあげる必要があります。

  まず,その時の状況を園の先生やこども本人から確認し,その時に必要な行動を考えてこどもに伝えます。口頭で伝えても良いし,文字や絵で書いたりしてこどもが理解しやすい形で伝えると良いです。色々なケースがありますが,ここでは「一緒に遊ぼう」と声をかける行動と,断られたときに「じゃあまた遊ぼうね」といってあきらめる行動を標的にするとします。

  次のモデリングの段階では,実際にその標的行動をリビングなどで行って,こどもに見せます。できればお父さんとお母さんなどで友達役とこども役を演じてみると良いです。お父さんが友達役として砂場で遊んでいる振りをして,お母さんがこども役として遊びに加わろうとする振りをします。お母さんがお父さんに向かって「一緒に遊ぼう」と声をかけます。その時に友達との距離や声のかけ方(友達がこっちを向いていなかったら近づいて名前を呼んだり,肩を叩いたりしてから声をかけるなど)も注意して下さい。そして友達役のお父さんが「いいよ」といったら,一緒に遊びます。別のケースで「今遊んでるから無理」などと断られるケースも演じます。断られた時の対応方法として「じゃあ,また遊ぼうね」と言ってこども役のお母さんは諦めて別の友達を探しに行きます。そのような演技をして,適切な行動をこどもに見せます。

  そしてロールプレイの段階では,モデリングの段階で見たこども役の行動を実際にこどもに行わせます。そして役割を交代して,友達役もこどもに演じさせると良いです。

  最後にロールプレイでこどもが上手く適切な行動を示すことができていたら褒めてあげ,修正が必要な点があれば指摘して教えてあげます。友達との距離感や声のかけ方,タイミング,声の大きさなど,保護者の方が見ていて違和感があったり,おかしいなと思うところは指摘して,どのようにしたら良いか教えてあげると良いでしょう。

  このような基本的なSSTの手続きを知っていれば,家庭の中でそれほど難しくなく楽しんで適切な社会的スキルを教えてあげることができます。ただ適切な行動を言葉で説明するだけでは中々実践するのは難しいので,具体的に適切な行動を見せて,実際に行わせることで社会的スキル向上につながります。まずモデルを見せて,ロールプレイで実際に適切な行動を行わせるということを基本とし,繰り返していくことが大切です。
  1つの状況で上手く行動できるようになれば,少し状況を変えて同じ手順で適切な行動を教えていきます。その時に友達はどのように考えていたか,自分はどのように感じたかなどを確認していくと,自己と他者の感情理解の訓練にもなります。

  日々の生活では様々な問題が生じますが,それらの問題を標的として克服していくことで,より社会的な行動を獲得していくことができます。様々な問題は教育のチャンスと考え,前向きに捉えていきましょう。



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