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 応用行動分析学勉強ノート

 三項随伴性と機能的アセスメント


  
応用行動分析学(ABA)が対象とするのは行動です。心理学は心の科学であり,目に見えない心を扱うため,心の働きを反映する観察可能で測定可能な行動を対象とする分野が生まれました(『心理学の基礎』参照)。しばしば応用行動分析学に基づいた教育的支援は冷たいとか機械的といった誤解を受けますが,これはいわゆる“こころ”ではなく“行動”を対象としていることが原因の1つではないでしょうか。

  応用行動分析学(ABA)は学習理論のオペラント条件づけを基礎としており,行動をどういう枠組みで捉えるのかということが重要になります。『3-2. 行動の見方』で解説しましたが,オペラント条件づけでは図で示すように行動単独ではなく,前後関係を含めて環境との相互作用として行動を捉えます(オペラント条件づけでは,『弁別刺激-反応-強化子』)。

  行動を理解し,行動を修正および形成するため,行動の形態(噛む,叩く,叫ぶ,ごみをポイ捨てするなど)や頻度や持続時間や強度だけではなく,環境との相互作用から行動の機能(目的,働き)に注目します。行動の前後関係から行動の機能を推測する手続きを
機能的アセスメント(functional assessment)と言います。行動だけに注目していると行動の機能を推測することはできません。

  
先行条件(A:どういった状況で)-行動(B:どのような行動が起こり)ー結果(C:どのような結果が伴ったか,どのように環境が変化したか),という3つの枠組みで行動を捉えることを三項随伴性(さんこうずいはんせい),または,行動随伴性,強化随伴性と言います。応用行動分析学で三項随伴性で行動を整理することをしばしばABC分析と言います。ABCとは,”antecedents-behavior-consequences”の頭文字をとっています。


    A - B - C
           先行条件    行動     結果


  応用行動分析学では三項随伴性の枠組みを用いて行動を捉えます。問題行動を改善するための計画を立てるときは,三項随伴性の枠組みで問題行動(B)の先行条件(A)と結果(C)についての情報を集め,問題行動の機能(理由・目的)を推測し,介入計画を立てます。発達障害のある人が示す理解しがたいような問題行動も,機能的アセスメントによって前後の状況が理解できれば,意外と単純な理由で起こっていることに気付くことが多くあります(3-4. 代表的な行動の機能と行動が形成されるメカニズム)。

  『3-3. 行動の原因を環境に求めることのメリット』で解説しましたが,ABCの三項随伴性の枠組みで行動を捉え,行動の原因を環境に求めることのメリットは,環境は観察可能で操作可能であるということです(目に見えて,変えることができる)。適切な行動が起こりやすいように環境を整えたり,周囲の人たちの対応を変えるといった具体的な対応につながります。また,問題行動と同じ機能を持った,より社会で受け入れられやすい行動を指導するというような建設的な計画を立てることができます(代替行動分化強化)。

  行動だけに注目していると行動の原因をこどもに求め,「なぜできるのにしないんだ!」,「やる気がないだけだ!」といったこどもを叱責するような対応になることがあります。

  また,個別療育や学習の基本も三項随伴性の枠組みで考えます。つまり,『(A)課題が提示される-(B)正しく課題を行う-(C)正答する,褒められる』や『(A)ある状況で-(B)適切な行動をする-(C)「ありがとう」と言われる』という枠組みが基本となります。結果(C)は本人が嬉しいことになります。この枠組みを繰り返し経験することによって,学習態勢や適切な行動が形成されていきます。

  
応用行動分析学(ABA)で大切なことは,このABCの三項随伴性の枠組みで行動を捉え,行動の機能に注目することです。そのため,応用行動分析学に基づいた療育や子育てを行うには,こどもが示す行動を自然とこの枠組みで捉えられるようになる必要があります。つまり,ある行動をこどもが示した時,どういった状況でその行動を示したのか,そして,その行動を示すことによってどのような結果が伴ったのかという見方ができれば,その行動を示した理由(行動の機能)を推測し,前向きな計画を立てることができます。




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  三項随伴性と機能的アセスメント

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