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 応用行動分析学勉強ノート

 コラム 「褒める」ということについて


  強化子とその大切さを解説してきましたが,ここでは「褒める」ということについて2点考えていきます。

  1点目は,褒めるということを強化子として説明してきましたが,最初から褒められることが強化子とならない場合があります。通常こどもは親や先生に褒められると嬉しいと自然に感じるようになりますが,自閉症などがある場合,褒められることが嬉しいと感じていないように見えることがあります。その場合,褒められることを嬉しいと感じるような経験を積ませる必要があります。

  学習理論で言うと刺激と刺激は対呈示(同時に呈示する)することで結びつくので,こどもが楽しいこと,嬉しいことといった,こどもにとってポジティブな刺激と『褒める』ということを繰り返し対呈示します。お菓子を食べる,ジュースを飲む,お気に入りの感覚刺激を得る,などは特別な経験をしなくても好きなこどもが多いので,そのようなことが好きであれば,「よくがんばったね」と笑顔で褒めながら強化子としてお菓子を与えたり,くすぐったりします。そのような経験を繰り返すと,お菓子やくすぐりに対するポジティブな印象が賞賛や笑顔に結びつき,褒められたり微笑みかけられることがこどもにとって嬉しい刺激となり,強化子として機能するようになります。褒めることが強化子となるためには,このような経験を繰り返す必要があります。

  学習理論では,食べ物などの特別な経験が無くても強化子として機能するものを『無条件性強化子』または『一次性強化子』といい,賞賛やお金,注目を得るといった過去の学習経験によって強化子の機能を持ったものを『条件性強化子』,『二次性強化子』といいます。

  2点目は,褒める人自身がこどもにとってポジティブな存在でなければいけないということです。私たちも尊敬する人や好きな人に褒められた方が,あまり関係のない人や嫌いな人に褒められるよりも嬉しいと思います。それはこどもも同じなので,褒めるということの強化子としての効果を高めるためには(つまりこどもが褒められることを嬉しいと強く感じるためには),こどもと良好な関係を築き,自分自身がこどもにとってポジティブな刺激となる必要があります。

  そのために保護者や教師は,積極的にこどもと遊んだり,落ち着いてお話をしたり,こどもが喜ぶことを一緒に行って楽しい時間を過ごしたり,普段から暖かい働きかけを行うことで,こどもにとってポジティブな存在(刺激)となっていきます(前述のポジティブな刺激との対呈示と同じ考え方)。そうするとこどもが良い行動をしたら褒めてあげたり,悪い行動をしたらこどもから離れるといった対応で,こどもの良い行動を増やしてあげることができます。

  療育場面でも同様のことが言え,療育者がこどもにとってポジティブな存在でなければ,「がんばったね」と言ってもあまりこどもは嬉しくなく,強化子としての効果も弱いです。そのために療育を始める前にこどもと一緒に楽しく遊んだりする時間をしっかり取ることが大切です。これはカウンセリングで大切といわれる『ラポールを形成する』ということと同じと思います。

  ABAの行動的介入や療育ではあまりこのようなこどもとラポールを形成することの大切さが取り上げられることが少ないですが,非常に大切なことであり,こどもと良好な関係が築けていないとマニュアル通りに療育を行っても上手くいかないことが多いです。こどもと楽しくかかわり,療育者自身がこどもに好かれ,療育者や療育場所がこどもにとってポジティブな刺激となることで,褒めたり微笑みかけたりすることが強化子となり,効果的に療育を進めることができるようになります。


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