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勉強ノート
目次
 多動や衝動性をコントロールする力を養う

 単純な課題で注意を持続する


  療育場面では様々な衝動的な行動が見られます。『行動療育に関する情報』も参考にしてください。

  個別療育で衝動性を抑える力を伸ばすための基本的な方針は,『衝動的な反応を抑えて課題に取り組む経験を積む』です。衝動性が強いということは抑制する力が弱いことからきています。この抑制機能の障害が衝動性や注意持続の問題の1つの要因です。様々な課題や作業を通して抑制する力を伸ばし,衝動性を弱めていきます。

  ここで言う課題に取り組むということは,適切な刺激に注意を向け一定時間取り組むということです。非常に単純ですが大切なことです。プロンプトフェイディング正の強化,負の強化といった行動的な介入手続きを用いて,衝動的な反応を抑えて課題に取り組み,成功体験を積み重ねます。

  例えば,箱に入ったビー玉を1つずつバケツに移していくといった単純な課題では,衝動性が高いこどもは1つずつということが難しく,複数を握ってバケツに入れてしまったり,ビー玉をガチャガチャして遊んだり,転がしたり,投げ出したりしてしまうことがあります。単純な課題に対して最後まで注意を逸らさずに衝動性を抑えて取り組む,ということが大切になります。

  まずは10個位の数から始めます。プロンプト(手助け)としては,1つずつ手渡したり,ビー玉間の距離を離したり,こどもの手を持って誘導し1つずつ取らせるなど,注意を向けて持続しやすい手助けを行います。途中で離席したら席に戻し,続きから取り組ませます(慣れてきたら1からやり直させる)。徐々にプロンプトを弱くしていきます。例えば,最初の5個だけ手渡しして後はこどもに箱から取らせたり,こどもの手の誘導を小さくしたりします。途中で衝動的な行動や周囲の物に注意が逸れた場合は最初からやり直させるなど。プロンプトなしでビー玉を10個落ち着いて1つずつバケツに入れられるようになったら第一目標達成です。
 
  次のステップは抑制する時間を長くし,刺激が多い状況でも課題に取り組めることを目指します。例えば,単純にビー玉の数を多くし,同じ状況で30個位のビー玉を1つずつ落ち着いてバケツに移すことができるようにします。少し時間がかかりますが,途中で衝動的な行動が見られたら1からやり直します。このような課題が複数できるようになると,刺激が少ない状況で,単純な課題に,ある程度の時間,衝動性を抑制して,取り組む力がついてきたと考えることができます。

  次は,バケツの距離を離して,離れたバケツにビー玉を入れて戻って来る,という課題を行います。まずは1m位の距離から始め徐々に距離を離していきます。衝動性が強い(抑制する力が弱い)と,別の所に走って行ったり,他の物に注意が逸れて戻って来なかったりします。まずは十分なプロンプトを用いて(身体を抱えてあげたり手を引っ張ったりして),5つ位のビー玉を1つずつバケツに入れて,落ち着いて帰って来られるようにします。この時は歩いて行って戻って来るように注意して下さい。これも途中で注意が逸れてしまったり走り出してしまったら1からやり直すようにし,10個位のビー玉(つまり10往復)で落ち着いて課題に取り組めたら合格とします。

  距離を離した場所に落ち着いて行って戻って来ることができれば,周囲の刺激への衝動的な反応を抑える力が付いてきたなと考えることができます。お家であれば,隣の部屋や別の階にバケツを置き,行って帰ってくることができれば十分だと思います。絵カードを複数枚置いて指定した絵カードを取ってくる,離れた壁にタッチして戻って来る,スプーンでビー玉を運ぶ,などの課題も有効です。テレビをつけたまま実施しても練習になるでしょう。「静かに頑張ってね」などと励まして,こどもが声も抑えて取り組むように注意してください。

  このように単純な課題をある程度の時間持続し,衝動性を抑える練習を通して,抑制する力を養っていきます。


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