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 個別療育の進め方

 学習態勢を形成する5 見通しを持たせる
 

  学習態勢を形成するためには,逸脱行動が起こらないように配慮し,楽しい雰囲気で学習態勢に関連する行動を強化して増やしていくと解説しました。ここでは,逸脱行動が起こらないような配慮の1つとして,見通しを持たせるという点を解説します。

  いつまで課題が続くか分からないという状況は強いストレスになり,学習への取り組みを悪くさせる1つの要因です。私たちも会議に出席するとき,いつ終わるか分からないような会議は見通しが持てず集中力が続かないと思います。何時に終わるということが決まっていれば,その時間までということで集中できるのではないでしょうか。

  それはこどもも同じです。特に時計の読めないこどもや少し難しい課題に取り組む時など,どこまでがんばったら良いか分からなければ集中力を持続することは難しいです。また学習態勢を形成する段階では,数十分という長い時間,課題に取り組むことを目指すので,見通しを持ちにくいです。

  よく課題内容と休憩のタイミングなどの視覚的スケジュールを提示することが勧められますが,それも1つの方法です。その際は,スケジュールを用いて見通しを持たせ,慣れてきたら徐々にスケジュールを簡易なものにしたり,スケジュールが無くても取り組めるように計画していく必要があります(プロンプトフェイディング参照)。

  私は,特に療育内容のスケジュールを提示する必要はないと考えています。スケジュールを用いなくても学習態勢が形成できるなら,用いないほうが良いと考えるからです。『学習態勢を形成する1』で解説したような方法で楽しく学習態勢を形成していくと,こどもは1セッションの時間を何となく理解していきます。

  療育セッション全体のスケジュールを用いることはありませんが,1課題毎の終了の見通しはきっちり持たせるようにします。簡単な方法では,10個くらいの枠をサッと紙に書き,正答するごとに枠の中に丸をつけて,全て丸が付いたら1課題終了とします。課題中も頻繁に褒めますが,すべての枠に丸がついたら,花丸などを書いてしっかり褒めてあげたり,こどもが嬉しい強化子を提示します。枠の最後に車の絵を書いて,全部できたらトミカで遊ぶなど強化子を分かりやすく示してあげても良いです。

  課題の困難さや要する時間によって枠の数や丸をつける基準を変えていきます。こどもにとって難しい課題や時間のかかる課題では,枠を3つや5つにしたり,簡単ですぐできる課題では,3回正答したら丸を1つ付けるなど。また,特に難しい課題などでは,課題ができたら枠の中にこどもにハンコを押させるなどして動機づけを高めます。

  この枠を用いて課題を行っていると,最初は意味が分からなくても,すぐに理解することができます。全てに丸がついたら1課題終了と見通しを持つことができるので,集中して課題に取り組むことができます。

  基本的には無誤学習(エラーレスラーニング,学習態勢を形成する2参照)で課題を進めるので,できなくて×をつけることは無く,全ての枠に丸が付いて終了という形をとります。こどもが慣れてきて理解力も付いてきたら,誤ったら×をつけてこどもに正誤のフィードバックを行いながら進めることもあります。

  この方法はその都度白紙に枠を書いて進めることもできるので,非常に簡単です。また,上手く用いると,正答と誤答の記録としても用いることができます。

  このように,どれだけがんばれば良いかという見通しを持たせて課題をすすめることで,こどもは集中して課題に取り組みやすくなります。徐々に基準を高めることで,新しい課題や苦手な課題を行う場合もがんばって取り組むという力を養うこともできます。


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