こども行動療育教室 トップページ カウンセリングルームこども行動療育教室
〒541-0041大阪市中央区北浜3丁目5-19
淀屋橋ホワイトビル5F
TEL.06-6203-2410
はじめに 行動療育とは 講師派遣 スーパーバイズ 関連機関の
コンサルタント
スタッフ
  
勉強ノート
目次
 個別療育の進め方

 
弁別学習 2 関連する力を伸ばす 

  ここでは,弁別学習に必要な力を考えていきます。少し工夫することで,刺激の弁別だけでなく,刺激の弁別に必要なスキルの向上にもつながります。


  1. 聞く力

  見本刺激が口頭での音声刺激の場合(「ウマ取って」,など),指示を聞き取る力が必要になります。療育者に注意を向ける,指示(音声刺激)に注意を向ける(聴覚的注意),指示を聞き分ける力が必要です。まずは「リンゴ取って」などから始め,「リンゴとバナナとトマト取って」という長い見本刺激に伸ばしていきます。3枚の絵カードを弁別する課題であれば,長い指示に対して注意を持続し,聞き分けることができないと,正しくカードを選択することができません。
  動詞カードを用いた場合,「お父さんが料理しているカードとって」,「お母さんが料理してるカード取って」,「お父さんが洗濯してるカード取って」という指示であれば,長い指示に対して注意を持続し,名詞や動詞を聞き分けることができなければ正答できません。このような課題は,音声刺激に注意を向ける,注意を持続する,聞き分ける,という力の向上につながります。


  2. 見る力

  選択刺激が絵カードや写真といった視覚刺激の場合,必要な絵カードに注意を向けて,絵カードを選択する力が必要です。例えば選択刺激の絵カードの枚数を多くすると,持続的注意や選択的注意がより求められます。また似通った選択刺激を用いたり,選択刺激の向きを合わせず雑に机上に提示すると,しっかりと視覚的な刺激を弁別する力が必要になります。このような弁別学習を行うことにより,必要な視覚刺激に注意を向け,注意を持続し,選択するといった力が養われます。


  3. 記憶する力

  「ウマ取って」など見本刺激が口頭での音声刺激の場合,音声刺激はすぐになくなってしまうため記憶しておかなければ弁別できません。少し応用し,見本刺激を提示してから選択までに時間を空けたり(例えば「ウマ取って」と指示を出してから10秒待って選択させるなど),選択刺激を遠くに置いて取りにいってもらうなどすると,記憶しておかなければいけない時間は長くなります。前述の「リンゴとバナナとトマト取って」という見本刺激であれば,3つの単語を記憶しておく力が必要になります。このような弁別学習課題を行うことで,記憶力を伸ばすことにもつながります。

  これらの注意,知覚,記憶といった力は,多くの学習の基盤となり,社会的学習にも必要な力になります。知的障害や発達障害,自閉症のある人は,注意力を中心とした認知機能が弱いこどもが多いです。そのため,PRT(Pivotal Response Treatments )では,こどもの注意を向けることや多様な手がかり刺激に対する反応性を標的として訓練を行います。

  注意や記憶の弱さが様々な学習を阻害し,不適応行動にもつながる要因の1つと考えられるので,視覚的注意と聴覚的注意,記憶力を対象とした課題を大切にしなければいけないと考えています。社会生活で例を挙げると,声かけに反応する,話し相手の目を見る(アイコンタクト),賞賛や微笑みかけに気づく,課題に従事する,雑音の中でも必要な音に注意を向ける,集団の中で先生の話を聞く,他者の行動や随伴性を見て学習する(観察学習),などに注意力,記憶力は必要です。注意の切り替えや持続が伸びてくると,切り替えや衝動性の改善にもつながっていきます。

  このように,様々な刺激を用いて弁別学習課題を行うことにより,刺激の弁別に必要な認知能力も同時に養われ,様々な学習や社会生活の基盤となる認知能力の向上につながります。


 <<前の頁へ     次の頁へ>>



行動的支援勉強ノート 目次

参考図書 おすすめ図書

みどりトータルヘルス研究所 こども行動療育教室

みどりトータルヘルス研究所 カウンセリングルーム



 
  copyright©2013 みどりトータルヘルス研究所 all rights reserved.