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 個別療育の進め方

 注意と記憶の訓練 1


  『弁別学習2 関連する力を伸ばす』で弁別学習に関連する注意と記憶を解説しましたが、ここでは、注意と記憶を伸ばすための課題を少し紹介します。

  注意と記憶は関連しており、古典的な記憶の研究では、外部の刺激に注意を向けることで短期記憶に貯蔵されると報告されています。例えば、電話番号を交換するとき、相手が言った番号に注意を向けることで、一定時間番号を記憶に留めることができます。しかし、テレビに没頭しているときに背中越しに電話番号を言われても頭に入らないと思います。つまり、人は必要な刺激に注意を向けることで、短期的に記憶に留めることができるということです。

  注意や記憶を伸ばすためには、注意や記憶が必要な課題や活動に従事する必要があります。持続的注意を伸ばす必要があれば、注意の持続が必要な課題を行い、選択的注意を伸ばす必要があれば、注意の選択が必要な課題を行い、課題への従事を強化します。以下に前述の弁別訓練のパラダイム以外の注意と記憶を伸ばすための課題や活動を少し紹介します。


 ○課題や作業に一定時間従事する

  単純な課題や作業に注意を向けて一定時間従事することは、持続的注意を伸ばすことにつながります。TEACCHの課題としてよく用いられるペグさしや紐通し、洗濯ばさみをつける課題は単純ですが、一定時間作業に取り組むことは、持続的注意の向上や学習態勢の形成につながります。たくさん書かれた短い縦線を鉛筆で斜線を引いて消していくという単純な課題も注意の持続課題として用います。

  持続的注意と選択的注意を伸ばすために、数字の羅列の中から特定の数字を斜線で消していく課題が注意訓練で用いられます(数字抹消テスト:ランダムに書かれた1から9の数字の中から3だけにチェックしていくなど)。数字だけでは取り組みがあまりよくなければ、まずは好きなキャラクターの顔をたくさんランダムに書き、特定のキャラクターだけ消していく課題を用いることがあります。例に示すように、そのプリント課題に斜線や曲線を加えたり、行ごとに選択する刺激を変えたりすることで、注意の切り替えやより選択的な注意が必要になります。    斜線入り数字末梢テストの例

  1から10までの数字をランダムに書き、1から順番に線で結ぶ課題も選択的注意の課題となります。慣れてきたら数字を増やしたり、関係のない刺激、例えば邪魔になる線やひらがななどを加えることで難易度を上げることができます。


 ○積木叩き

  4色くらいの積木を机上に提示し、「あか、あお」といいながら赤い積木、青い積木を叩いて、それを模倣させる課題も注意と記憶課題としてよく用います。最初は1つの指示から始め、2つ、3つと連続した指示に増やしていきます。絵カードで「うま、くるま」などと行うこともできます。
  聴覚(「あか、あお」)+視覚(赤い積木を叩く、青い積木を叩く)の見本刺激だけでなく、口頭の指示のみを行うことで聴覚的注意を標的としたり(「あか、あお」と指示を出し、赤い積木、青い積木を叩ければ正反応)、色の名前を言わず積木を叩く動きだけを示すことで、視覚的注意を標的とすることもできます(赤い積木、青い積木を連続で叩き、模倣できたら正反応)。それぞれの指示を組み合わせ、連続する見本刺激の長さを長くしていきます(「あか、あお、みどり、あお」など)。
  また、指示を出してから時間間隔をあけて反応させることで、記憶課題として用いることもできます。例えば、「あか、あお」と指示を出してこどもの手を持ち10秒経ってから反応させるなど。


 ○連続した指示や短文の聞き取り

  弁別学習2の聞く力でも説明しましたが、聴覚的注意の課題は聞き取りが中心となります。口頭での指示を見本刺激とした絵カードの弁別学習をよく用います。口頭での指示を長くしていくことで、持続的注意を伸ばしていきます(「リンゴとバナナとパイナップル取って」など)。

  言葉が出ているなら、短文模倣も聴覚的注意の課題として用います。まずは単語の模倣から始め、「リンゴは赤い」など短い文の模倣を行います。言語スキルによっては助詞など正確に模倣できなくてもよいです。慣れてきたら文を長くしていきます(「山の上に赤いリンゴの木があります」など)。長い文章に注意を持続して聞き取る力が付いていきます。

  色の付いた積木と箱を用いて、「赤い積木を箱の上に乗せて、青い積木を箱の中に入れる」などの連続した指示の聞き取りも注意を向けて聞かないと正答することができません。慣れてきたら、指示を長くしていきます。「赤い積木を箱の上に乗せて、青い積木を箱の前において、黄色い積木を箱の横に置く」など。箱も2色の箱を用意してあげると指示の幅が広がります。


  上記のような課題は注意や記憶が弱いこどもにとっては苦手なものが多いので、こどもの力に合わせて課題の難易度を調整し、スモールステップで、課題への取り組みを強化していきます。最初はできるだけ楽しく、遊びのような雰囲気で行うと良いです。

 備考:視覚的注意に関して注意訓練の『attention process training』を参考としています。


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