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 行動的支援勉強ノート 1

 問題行動が強まるメカニズム


  
発達障害のある青年や成人が非常に強度な問題行動を示すことがあります。例えば,噛みついたり執拗に髪の毛を引っ張ったりする他害行動,便塗りや便こねなどの不潔行為,自身の身体を傷つける自傷行動などがあります。これらの激しい問題行動は強度行動障害といわれることがあります。大変危険であり,適応的な社会生活を妨げ,修正に多大な労力が必要になります。

  強度な問題行動が獲得され,維持される理由は理解しにくいと思います。全てではないですが多くは,環境によって(環境との相互作用によって)強められた結果です。前節をまず読んでいただき,以下の問題行動が強まるメカニズムに進んでいきましょう。

  まず,前節の服の着替えに関する問題行動が強まる例をABCの三項随伴性の枠組みで示した例1を見て下さい。


<例1>
①(A)気に入らない服を着ている→(B)お気に入りの服を持ってくる→(C)着替えることができる
②(A)気に入らない服を着ている→(B)お気に入りの服を持ってくる→(C)「後でね」と言われて着替えることができない
③(A)気に入らない服を着ている→(B)気に入らない服をトイレに詰める→(C)母親に叱られるが服を着替えることができる



  次に,『課題からの逃避』の機能を持つ行動が強まる例をABCの行動随伴性の枠組みで例2に示します。

<例2>
①(A)課題中→(B)「いやー」と泣く→(C)課題が終了される
②(A)課題中→(B)「いやー」と泣く→
(C)課題が終了されない
③(A)課題中→(B)席を立ち走り回る→(C)課題が終了される
④(A)課題中→(B)席を立ち走り回る→
(C)席に戻され課題が終了されない
⑤(A)課題中→(B)課題を机の上の課題を投げる→(C)課題が終了される
⑥(A)課題中→(B)課題を机の上の課題を投げる→
(C)課題が戻され終了されない
⑦(A)課題中→(B)課題を噛みちぎる→(C)課題が終了される



  上記の2例から,問題行動が強まるメカニズムを考えていきます。

  例1でこどもが求める結果(C)は服を着替えるということであり,例2では課題を終了するということです。例から分かるように同じ結果を得るために行動が順に強まっています。同じ行動でも段々強度が増していき(激しく,時間も長くなっていく),下に進むほど対応が難しい行動になっていることが分かります。例1の『③気に入らない服をトイレに詰める』,例2の『⑦課題を噛みちぎる』という行動(B)は粗大で単純な行動ですが,対応する側としてはこどもの要求を通さざるを得ず,無視できない行動です(隣にいるこどもを叩くといった他害行動が見られることもあります)。このような強度な問題行動を早い段階から行うこともありますが,問題行動は例1,例2のように段階的に強度を増していくことが多いです。

  ではなぜ問題行動の強度は増していくのでしょうか。前節3-5で発達障害のある人たちに問題行動が見られやすい理由を解説しましたが,ある行動を行うことで要求が通っていても,段々同じ行動では要求が通りにくくなります。保護者や対応する人が慣れてきて少々泣いても気にせず課題をすすめようとなったり,忙しくて対応できなかったり,教育的に服を着替える回数を制限するよう計画したりと理由は色々考えられます消去:上記の赤色の対応)。

  そして,ある行動を行っても要求が通らなくなる,または,通り難くなると,要求を通すために問題行動をより激しく,より長く行います(
消去バースト)。この段階で要求が通ってしまうと,より激しく,より長く問題行動を行うと要求が通るということを学習し,以前より問題行動が強力になっていきます。それでも要求が通らなければ,要求が通るような行動を色々試し,自分の持っている行動レパートリーの中から要求が通りやすい行動を行います。そこで要求が通ると,新たな問題行動が形成されるということです。このようなメカニズムによって問題行動は強度を増し,強度行動障害とよばれるような対応が困難な行動に変わっていきます(「消去と消去バースト 2」参照」)。

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