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 個別療育の進め方

 コラム 認知スキルを常に意識する


  専門家は,こどもとの関わりや行動観察,教育的支援において,こどもの認知スキルを常に意識する必要があります。行動的支援では,こどもが特定の行動や課題ができなかったとき,指示の出し方(先行条件A)や結果(C)を工夫したり,下位行動としてどのような行動を獲得しないといけないかを考えます。しかし,課題内容や失敗の仕方から,こどもがどのような認知スキルに弱さを抱えているのかを同時に推測していきます。特定の認知スキルの弱さが見られたら,こどもに合わせた課題内容や指示の出し方,課題の提示の仕方につながり,認知スキルに配慮した取り組みを計画することができます。

  認知機能や脳に関する最新の知見を網羅することは難しいですが,注意や記憶,実行機能に関する基本的な知識,障害との関係は知っておくと役立ちます。

  例えば教育相談で保護者から,「幼稚園で先生の全体に対する指示を聞くことができない」と相談を受けたとします。行動的支援としては,先生の指示に反応して動く行動をスモールステップで獲得することを目指します。指示を明確にしたり,事前に注意を向けてから指示を出したり,座席を前にしたり,少人数の場面から始めたりして指示を聞きやすくし,指示を聞く行動を強化します。そして様々な場面で指示に反応して動く経験をしていきます。

  認知面から考えると,視覚的または聴覚的な選択的注意の弱さや持続的注意の弱さ,行動を切り替える力の弱さ,抑制する力の弱さといった様々な認知スキルが影響している可能性があります。こどもの様子や保護者からの聞き取りから弱い点を推測して,課題としていきます。

  絵カードの弁別課題(例えば絵カードを4枚提示して「〇〇取って」と指示を出して取ってもらう課題)が上手くできない場合,名称が理解できていないという言語スキルだけが原因ではない可能性があります。指示に注意が向いていない,カードに注意が向かない,名称を記憶できない,衝動的に手が出る行動を抑えることができていないなど。これはこどもの視線や表情を見て推察します。”カードに注意を向けて見る,全てのカードを見る”ということができていなければ,同じように課題を繰り返しても正答率は上がり難く習得に時間がかかります。その時,こどもの手を軽く押さえて指示を出し,目線の動きを確認して正解のカードにも注意が向いたことを確認してから手を放してカードを取らせることで,正答率は上がります。必要な刺激に注意を向けて,衝動性を抑えて選択するという力を伸ばすことができます。

  療育や日常生活の支援において表に見える行動だけではなく,常にこどもの認知機能を意識することによって,より効果的な支援につながると考えています(他の頁でも解説しているように,認知機能を伸ばす方法は行動的支援が中心です)。

  この視点は問題を客観的に捉え,前向きに子育てや支援を行う手助けになります。日常起こる様々な困りごとに対して,保護者や支援者は感情的に巻き込まれてしまい,気力を失ってしまったり,絶望感を感じたり,感情的に激しく対応してしまったりすることがあります。

  こどもが問題行動を起こしたり,できないことがあった場合,その背景にある認知機能の弱さとの関連で理解することができれば,困りごとを客観的に受け止めることができ,前向きな支援や子育てつながります。

(問題行動への巻き込まれに関しては『行動の原因を環境に求めることのメリット2』,『障害特性を正しく理解する』もご参照ください)


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