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【カウンセリングルーム/こども行動療育教室】 【職場のメンタルヘルス】 〒541-0041大阪市中央区北浜3丁目5-19淀屋橋ホワイトビル5F TEL.06-6203-2410 |
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勉強ノート目次 |
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軽度知的障害やその他の発達障害のあるこどもの支援 | ||
![]() ルールを決めて守ることの大切さを解説してきましたが,ADHDや知的障害のある人の場合,正しい行動が分かっていても衝動的に問題行動を行ってしまうことがあります。 『人を叩いたらいけない』というルールが分かっているけど,からかわれたら手を出してしまう,『授業中に席を離れたらいけない』ことを分かっていても離席をしてしまう,というものです。 正しい行動を行うスキルがあり,やらないといけないと分かっているけれど,できないという場合,主に衝動性が関係しています。その他,自己制御(セルフコントロール)の弱さ,適切なスキルが定着していない,状況理解の弱さ,行動の結果を具体的にイメージする力の弱さ,などが関係していることがあります。 このような場合,「○○しなくてはいけない」,「△△してはいけない」というルールを2-3回言い,こどもが「分かった」というだけでは不十分です。こどもが「分かった」と言った後にルールを破ったり,問題行動を行ったりしてしまうと,「分かったって言ったでしょ!」と保護者は怒ったり,『なぜ分かっているのにするのだろう?』と悲しくなると思います。 『知識として分かっている』、『知識として分かっていてスキルもある』ということと,『実際に行動できる』ということは違います。また,知識として理解している程度(どの程度ルールを実感しているか)やスキルが定着している程度(どの程度無理なく実行できるか)ということも関係します。『SST』の頁でも解説しましたが,正しい社会的行動やルールを指導する場合,まず知識として教え,その行動を実行し習慣となるようにモデリングやロールプレイを用いて指導する必要があります。そして衝動性の強さなどのために正しい行動が知識として分かっていても実行できないこどもの場合は,そうでないこどもよりも正しい行動を繰り返し指導し,実行させて強化し,無理なく行動できるように定着させないといけなません。正しい行動の知識や実行が衝動性を上回るまで,教育的な支援を行う必要があります。 まず,正しい行動やルールを繰り返し知識として教えます。これは,こどもが「分かった」と言ったとしても,しっかり実行されるまで繰り返します。学校に行く前や夕食後などに毎日確認しても良いです。『絶対に人は叩かない』,『授業中は席を立たない』などを紙に書くなどして毎日確認します。そして,様々な場面を想定し,どのように行動したら良いかを教えてあげます。『絶対に人は叩かない』というルールであれば,友達にからかわれたとき,物を壊されたとき,肩がぶつかったとき,にらまれたとき,叩かれたとき,イライラしたとき,などに具体的にどうしたら良いかということを教えてあげます。 その際,正しい行動を行った時のポジティブな結果,正しい行動を行わなかった時のネガティブな結果も合わせて繰り返し伝えます。1週間頑張ったら家族で公園に遊びに行くけれど,ルールが守られなかったら遊びは無くなります,など。中学生や高校生,成人になり,理解力が高まってきたら社会的なネガティブな結果を伝えることもあります。人を叩いたら学校を退学になる,警察に捕まる,仕事を辞めなければいけなくなる,など。 そして,ルール通りに結果を提示し,正しい行動を積極的に頻繁に強化します。ご家庭でできることであれば,毎晩その日ルールを守ることができたかを確認し,チェックシートに○を付け,「よくがんばったね」「その調子」と褒めてあげます。授業中の離席行動を対象としている場合は,その児童が離席せず座ることができていたら担任の先生は10分に1回微笑みかけたり,肩をポンポンと叩いてあげたりして正しい行動を頻繁に強化します。これは徐々に15分に1回,30分に1回と間隔を伸ばしていけば良いので,まずは可能な限り頻繁に正しい行動を強化します。トークンエコノミーを用いることも有効です。一日ルールを守ることができたら教頭先生にハンコを貰うなど,こどもが喜ぶことを考えてあげます。 このようにADHDに関係する衝動性の高さなどのために,分かっているけれども衝動的に問題行動を示してしまうこどもの場合,「なぜ分かっているのにできないの!」と叱責したり,「もうこの子は何を言っても聞かない」と諦めてしまってはいけません。こどもが分かっているはずなのに正しい行動を行わないと,性格に問題があったり,わざと困らすような行動を行なっている様に感じるかもしれませんが,決してそんなことはありません。こどもは保護者や教師を困らせようと思って,問題行動を示すわけではありません。衝動性や知識不足,スキル不足,周りの誤った対応や反応のために,自分でもコントロールできずに問題行動を行ってしまっていることが多いです。 そのため,自身の行動をコントロールできるようになるまで,繰り返し正しい行動を指導し,強化する必要があります。正しい行動が定着するまで時間がかかることがありますが,衝動的な行動を抑えて正しく行えるようになる行動はたくさんあるので,スモールステップで根気強く取り組んでいきましょう。 参考図書 おすすめ図書 行動的支援勉強ノート 目次 みどりトータルヘルス研究所 こども行動療育教室 みどりトータルヘルス研究所 カウンセリングルーム 【軽度知的障害やその他の発達障害のあるこどもの支援】 その他のテーマはこちら いじめの問題 二次障害 1 二次障害 2 コラム:やられたらやり返す? 園や学校での支援 1 参加を促す 園や学校での支援 2 適切な随伴性を経験する 園や学校での支援 3 支援の方向性 園や学校での支援 4 問題行動への対応 コラム:ストレスだけを問題の原因と考えない ルールを決めて、守るということ1 ルールを決めて、守るということ2 ルールを決めて、守るということ3 めんどくさいという気持ち コラム:ゲームの時間を管理する ルールを守ることと衝動性 ルールを決めて、守るということ まとめ 1 ルールを決めて、守るということ まとめ 2 色々な取り組みを計画するときのコツ 登校渋りの予防と対応 1 ルールを決めて徹底すること 登校渋りの予防と対応 2 切り替えの弱さが原因の場合 登校渋りの予防と対応 3 意欲と活動の関係 登校渋りの予防と対応 4 脳への刺激という視点 日々の生活で社会性を伸ばす:SST 性格と問題行動 1 性格と問題行動 2 問題を解決する力を養う 成人の方への支援について 1 適切な知識を学ぶ 成人の方への支援について 2 問題解決スキルを学ぶ |
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