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 個別療育の進め方

 反応クラスと分化強化


  応用行動分析学(ABA)では,どのような行動を行うのかというよりも,なぜその行動を行うのかという行動の機能に注目すると解説してきました(参照)。

  同じ機能(目的)を持った様々な行動は,同じ反応クラス(機能的クラス)に含まれると考えます。例えば,こどもが玩具を欲しいときの要求場面を三項随伴性で考えてみます。『A:友達が玩具で遊んでいる‐B:(行動)-C:玩具が手に入る』という場合,B(行動)は,「貸して」や「この玩具と交換しよう」と友達に言う,「あの玩具で遊びたい」と先生や保護者に言う,玩具を取って逃げる,友達を叩いて玩具を取る,「玩具欲しい」と言って泣く,など様々な形態の要求行動が起こる可能性があります。しかし,全ての行動が『玩具を手に入れる』という機能を持つ同じ反応クラスの行動と考えることができます。

  ABAでは,行動の前後の文脈から行動の機能を予測し必要であれば修正したり、正しい行動を形成したりします(機能的アセスメント参照)。行動の機能を知ることが重要であり,行動の形態(どのような行動を行っているか)は,あまり重要ではありません。しかし,こどもの社会適応を考えた場合,その行動が社会で受け入れられるかどうかは非常に重要になります。

  もし社会で受け入れられないような行動(暴力的行動や自傷行動など)であれば,同じ機能を持つ,より社会的に受け入れられすい行動を教えてあげなければいけません。これは行動療育の目標の1つになります。

  先ほどの『玩具を手に入れる』機能を持った反応クラスを例として考えていきます。すでにこどもがより社会的な行動を行動レパートリーとして獲得しているなら(すでにできるなら),より受け入れられやすい行動が起こりやすいように分化強化の手続きを用います。つまり,こどもが「玩具を貸して」と言ったらすぐに玩具を手渡してあげますが,友達を叩いた場合は玩具を渡さないようにします。より社会的に受け入れられる行動では要求が通るけれど,受け入れられない行動では要求が通らないということを学習させます。

  次に,もしこどもがより社会的な行動を行動レパートリーとして獲得できていなければ,その行動を教えてあげなければいけません。玩具が欲しくて友達を叩いてしまうこどもの場合は,「貸して」という要求語を指導し,場面を設定してスキル訓練を行います。例えば、近くの保護者に「○○かして」「○○ちょうだい」と言わせて,それが手に入るといった訓練を行います。言語スキルが低く,「貸して」と言うことが難しければ,『貸してカード』を手渡させるという段階を設けても良いです。友達を叩くよりもカードを手渡すほうが社会的な行動だからです。

  もう少し初期の要求行動を簡潔に考えてみます。幼児はクレーン行動で要求を示します。何か欲しいものがある場合,保護者の手を引っ張って取ってもらったりします。知的障害や発達障害があるこどもは,少し大きくなってもクレーン行動で要求を示すことがあります。それは,より社会的な要求行動が行動レパートリーして獲得されていないことが原因の1つと考えられます。

  そのため,同じ要求の機能を持った反応クラスで,より社会的な行動を指導します。指差しや絵カードでの要求などがこれにあたるので,指差しや絵カードで要求することを指導します。そして指差しや絵カードでの要求がある程度獲得されたら,分化強化の手続きを用いて,クレーン行動では要求を通さず,指差しや絵カードでの要求を行ったら要求を通すようにします。

  次により社会的な要求行動は,言葉で要求することです。そのため,「とって」,「ちょうだい」などの要求語を指導します。難しければ「て」や「ちょ」でも良いです。まずは『指差し+ことば』を指導し,欲しいものを指差しながら「ちょうだい」などと言うことを教えます。言葉の訓練を合わせて行う場合は,欲しいものの名称を言わせるようにします。ジュースを指差して「ジュース」,「ジュースちょうだい」と言って要求するなど(欲しいものの名称を言うことで,語彙力の向上や発音の練習になるため)。そして次に言葉だけで要求するように分化強化します。

  このように行動療育の1つの目標は、同じ反応クラスのより社会的に受け入れられやすい行動を指導することです。そして、保護者や先生に分化強化の手続きを用いた日々の関わり方をアドバイスし,指導した行動を定着させていきます。言葉の獲得を目指した指導を行うのは,言葉でのコミュニケーションがより社会的な行動だからです。


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